1月11日は、義父と実母の命日。


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義母にもらった、母のラスト年賀状。
これを出した頃は、87歳元気な母だった。
でも膀胱の中では、癌細胞が勢力を一気に増していたのだ。

発覚したのは、この賀状を書く前、11月半ば過ぎ。
その日はたまたま、私の車で母の友人宅を訪う予定だった。

私との待ち合わせに向かう電車の、乗り換え駅のトイレで。
血の塊らしきものを含む真っ赤な血尿がとめどなく出たと、
母の震える声で電話があった。


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それから1年後。
私は義母から例年通りに、年賀状の宛名書きを頼まれ
新年に義母へ届いた賀状の束を預かった。
その中に、実家父母の連名を記されたこの一通があった。

母の文字の表書きと、なんとも愛らしく温かい絵柄。
これを書いたのは、癌を宣告されて間もない時期のはずだ。
当時の母の心中を思い、賀状に込められたその想いに、
胸が一杯になった。

私の心を察して義母が気軽にくれたその葉書を、
次に母のもとへ行く時に持参した。

夏にはまだ、痛み止め使用ながら元気な日は買い物ほか
結構な距離も歩いて外出でき、家でもそこそこ動き、
食欲も旺盛だったが…
秋の深まりと共にその体は急激に衰えを見せていた。

最後に車で外出したのは11月7日、青空の下。菊の香り。
兄嫁と姉と私、3人代わる代わる車椅子を押し、菊花展を観た。

私が母にその賀状を持参したのは、12月に入ってからだった。
いよいよ衰え枯れゆく姿を見せながらも
車椅子を自力で漕ぎ、流動食でも食欲のあった母は、
一年前に末娘の姑に送った賀状に溜息まじりの小さな歓声を上げ
嬉しそうに懐かしそうに、とても愛しげに、飽かず眺めた。

帰りがけに私が、
「これ、置いて行こうか?」
と訊くと
「うん、いいの?嬉しい〜!」
と、笑った。