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2008/05/30 (Fri) 短歌人6月号から (加筆少々)

<水無月集>より





              まだおひとりなんですか?
                                           魚住めぐむ

   


      この先を継いでゆけない遺伝子を抱えて見上げる東雲の空


      あきらめることをゆるされる歳となり自分のための春をたのしむ


      燃えるゴミ燃えないゴミの分別を だれかの子どもの未来のために


      淡すぎるピンクの空気に包まれて脳内彼氏と会話する日々


      お受験を語りはじめる友の輪の中とりあえず相槌を打つ


      満ちてゆく沈黙 みつめる夕空に飛行機雲が薄れはじめる


      脱ぎ捨てることのたやすさひらひらと波打ち際を裸足で歩く


      「まだおひとりなんですか?」(っていい意味に受け取る余裕)笑顔でうなずく







水無月集は、会員1欄所属の会員を対象とした連作で、6月号に掲載されます。

今回は、私が入会当初から注目させていただいている魚住さんの作品に共感と感慨を持ち、
ご了解を得て紹介させていただくことにしました。


第1首: ああこの感覚、わかるなぁ。
     こういうこと感じるときって、なぜだか空をみている気がする。
     逆かな?空を見ると、時にこういう感覚を持つのかな。
     悲壮感はない。だが或る種のかなしみをかすかに伴う、ぽっかりと突き抜けたかんじ。
     そしてその空は「東雲」である。夜明けの空。それがこの歌のベクトルになっている。      

     それは、私の遺伝子が私で終わるということの清々しさ、なのかもしれない。
     (とりあえず今の時点では、ひとつそれだけの覚悟みたいなものをして)
     この肉体に抱え込んでいる遺伝子たちよ、未来へつないでゆけないでごめんね。
     (でももしかしたら、つなげるかもしれないんだけどね。)
     
第2首: 私にもそんな時期があったなぁ。
     「あきらめることをゆるされる歳」というのは、社会通念的な概念に過ぎない。
     たしかに、ひとつの「あきらめ」ではあるかもしれないけれど、本当のところ、
     「あきらめ」とすることで、自分自身がそのような社会通念から解放される、ということ。
     だからこそ、心置きなく自分のためだけに楽しめる、春なのだ。

第3首: これこれ!「うん、そうそう!!」
     いつも意識しているわけではないけれど、私もたぶん常にこの気持ちがある。
     未来の人類をつないでくれているすべての人たちへ、敬意と感謝と「よろしく」を込めて。
     
     だが、たいせつなことを一つ。
     (私ではなく)作者に於いては、
     この行為がいつか「我が子の未来」という具体に変わる可能性も伴っているのだ。

第4首: 「淡すぎるピンク」・・ちょっとダメ押しという気もするけれど・・でもそれが作者の気持ち。
     「脳内彼氏」、これは三通りの受け取り方ができる。

     ①彼氏ではないけれど、実在で作者と接点のある男性。
     ②実在はするけれど、現実味はない憧れ的存在の男性。
     ③脳内にしか存在しないバーチャル彼氏。

     が、作者は“バーチャルでしか恋愛できない女性”ではないので、①と思われ。
     (私は彼女の瑞々しい相聞歌も好きです。)
     また、「~空気に包まれて」とは、日々そんなシチュエイションが現にある、と解釈。

第5首: これもよくわかります。
     が、さらに歳月を経ると、家庭内の不穏な話題も多くなって・・・
     深刻さ重たさが出てくると、「とりあえず」的相槌は打てなくなります。。。

第6首: 連作中、歌としてはいちばん好きな1首。
     沈黙が満ちてゆくのは、閉塞感の重たさになりがちだけれど、この沈黙は違う。
     視線が空へ向かっている。開放されている沈黙。
     爽やかでやるせないような、ここちよさのある沈黙。
     夕空に飛行機雲が薄れてゆく、すこしせつなくて、でも心がほどけてゆく感覚。

     恋の予感に満ちた沈黙かも。

第7首: 人生の中で、ある時期にふと、脱ぎ捨てることがたやすくなる瞬間がある。
     それは、とりもなおさず、“解放”とある意味での“開き直り”によるものであろう。
     脱ぎ捨てることがたやすくなるということは、踏み出すこともたやすくなるということ。
     「ひらひらと」、そう、その身軽さで。
     この歌も好きです。

第8首: 「結婚しなきゃ」「子どもをもってあたたかな家庭を・・」という呪縛から放たれると、
     軽やかに素直に、新しい恋に向かえるもので。
 
     「まだおひとりなんですか」という言葉・・・
     それが、例えば年長者(あるいは後輩とか?)の発した無遠慮な質問とするよりも、
     出会って間もない男性からの、好意に基づく遠慮がちな問いかけと考える方が、
     この連作の流れにも自然にはまっていると思える。

     よって、これは、すがすがしい出逢いの歌。だと私は断定してしまおう。

     そしてこの一連の歌の最後を飾るのが、女性として殻を一枚「脱ぎ捨てた」、
     それゆえにしなやかな美しさを増した、作者の笑顔なのだ。     




私の独断により、以上のように読ませていただきました。
読みの足りないところ、深読みのすぎるところ、あらぬ方向の解釈など・・・
あるかとは思いますが、作者さま、どうかご容赦くださいませ。



魚住さんの歌は、難解にせず力みもせず、素直にすっと詠われている。
それがまず美点だと思う。(もちろんご本人には、産みの苦しみというものがあるわけですが)
そして、どちらかというと控えめな表現に思える中に、はっとさせる感覚が、しっかりとある。



・・・と・・・
短歌の先輩に対して偉そうな感想を書かせていただきました。失礼どうかおゆるしください。

掲載のご了解、ありがとうございました。

これからも、楽しみに読ませていただきます。



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本田鈴雨(ホンダスズメ)

Author:本田鈴雨(ホンダスズメ)
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